● こんにちは、まこちょです。
みなさんは「代動詞のdo」という表現を聞いたことはありませんか?
英語は同じ言葉の繰り返しを嫌います。そこで同じ動詞句を繰り返す場合は代動詞といって動詞の代わりに使うことで繰り返しを避けるようにするんです。
こんなこと書くと「何か難しそうだな」ってちょっと敬遠したくもなるんですけど、実はみなさんはこの「代動詞」の表現、意外としょっちゅう見てるんですよ。例えばこんなのはどうでしょう。
例
Do you have a pen?
Yes, I do.
なぁんだ、って思いませんでしたか?そう、このdoは代動詞。doはhave a penを指しているのはお分かりかと思います。もう一ついきましょう。
例
She speaks English better than she did.
「彼女はむかしに比べると英語をより上手に話す」
そう、これも代動詞。過去形ですのでここはspoke Englishの代わりとして使われているんですね。
とこのように言われてみればなんてことのない簡単な文法事項のように思えるじゃないですか。
ところが先日、生徒がこういう質問を持ってきたんですね。
「先生、代動詞のdoなのですが、doとdo it、do soはいったい何が違うんですか?」
というもの。最初これを聞いたとき「へ?」と思ってしまいました。
なんでこんな質問が出たかというと、その生徒はある授業で「私は彼には一切助言しない。そんなことをしても無駄だからだ」の英作文を
I don’t give him any advice because it is useless to do.
と表現したのですが、先生に×をもらってしまいこのように直されていたのだそうです。
I don’t give him any advice because it is useless to do so.
この生徒はとても頭がよく、自分の英作文にdoを使ったのは「代動詞」をつかって、動詞の繰り返しを避けたのですね。つまり
do = give him any advice
と考えてdoを使ったのだと。ところが修正文ではdo soとsoがくっついた形で戻ってきたのだという。
その生徒はなぜsoをつけなければならないのか、大いに疑問に思ったらしいのですね。いったいdoとdo soは何が違うのかさぞかしこの生徒もこまってしまったと思います。
確かにこのdoとdo soの違い、苦手な人は多いように思えます。それほど簡単ではありません。いったいこの2つは何が違うというのでしょうか。
そこでこの生徒のためにも本日のテーマはこの「代動詞」について取り上げてみたいと思います。じつはこの代動詞とんでもない謎があったのでした。
ぜひ会得してくださいね。
このdoは本当に代【動詞】なのか?
ところで唐突なのですが、みなさんはこのことに気づいているでしょうか。先ほどの例をもう一度見てみますね。
例
Do you have a pen?
Yes, I do.
これって答えをYes~で表現しているわけなんですけども、これNo~で答えたらどうなりますか?
もちろんこうやって書いてくれるはずですね。
No, I don’t.
ばかにすんなよまこちょ!とお叱りをうけるかもしれませんね。ですがちょっと待ってください。このdoは代動詞でしたよね?ということはこのdon’tも当然代動詞じゃないですか。
そうすると、あれれ?何かおかしくないですかこれ。ちょっと並べてみますね。確か…
do = give him any advice
don’t = don’t give him any advice
あれ?なんで下のdon’tは「=」をはさんでもう一回don’tが出てきてるんでしょうか?そりゃdon’tをもう一回登場させないと「=」にならないのは百も承知。でもそれだったら上も合わせて
do = do give him any advice
こうなってないとおかしいんじゃないでしょうか。
そうするとこのdoを代【動詞】というのは無理があることに気づきます。
なぜって do giveの箇所で分かるとおり、doが代【動詞】でしたら動詞が2つかぶっていることになります。
do(V) give(V)
英語は動詞を2つ連続でつなげることは原則できませんよね。ということはこのdoは【動詞】と呼ぶことはできないということになります。ではこのdoの品詞はいったい何か?
代動詞のdoは実は【助動詞】
実はdoには「助動詞のdo」があるのだった!なるほど、doを「助動詞」として考えると色々とつじつまが合いますね。
例えば「助動詞」は ①動詞の前につく ②否定の形は助動詞 + notなどがそうです。ためしにdoをcan辺りに置き換えてみてください。
do give
can give
do not give
can not give
ほらね?全部ぴったりなんですよ。
え?助動詞のdoの用法なんて見たことないって?そうでしょうか。例えばこんなのはどうでしょう。
例
I do love you.
おそらく高校英語の単元としては「強調」表現のくくりで学習するのではないでしょうか。そう助動詞のdoには「強調・対比」の意味があるのです。
そしてこのdoが「助動詞」の一種ということになると、先ほどの生徒の英作文は非常に文法的にマズイ形になっていることに気づくでしょうか。
I don’t give him any advice because it is useless to do.
doの前にあるtoは不定詞のto。不定詞はto+動詞の原形になるはずです。ところがこのdoは【助動詞】の一種ですので。toの後ろに置けるわけないですよね。もし「?」がついてしまったら、doの代わりに同じ助動詞であるcanを置いてみれば分かるはずです。
to can
こんな形があるわけないのです。
代動詞は2種類ある
なんと、私たちが普段「代動詞」と呼んでいるものは実は【助動詞】だったなんてびっくりですよね。この助動詞のdoを使って、後ろの動詞以下を省略させていたということになります。
例
He thought that he would read the book by Monday, and he did.
「彼は月曜日までにその本を読むと思ったし、実際読んだ」
he did = he did (read the book by Monday).
助動詞のdoですから、以下の場合には使えないことを知っておきましょう。
②~ingにする
③副詞を伴う
②の場合など例えば
例
× Ken often picks his nose. She often sees him doing
「ケンはしょっちゅう鼻をほじる。そうするのをよく見かける」
この場合はdoingの箇所を代動詞として使っているのだと推測しますが、代動詞doは【助動詞】です。doingができるのならcanningだってできるということになってしまいます。
ところがみなさん、先ほどの先生の添削でもお分かりの通り、
I don’t give him any advice because it is useless to do so.
の場合は許されるのです。doの後ろにsoがついただけです。これはいったい…?
そう、もう勘のいい方は気づいているかもしれません。
実は代動詞doは2種類存在するのです。とくに分かりやすいのはdo so / do it / do that。
soやit/thatがついたときのdoは実は【助動詞】のdoではなくてただの動詞のdoなんです。
ただの動詞のdoなのですから不定詞toの後ろに置いたところで何ら問題ないことになりますよね。とうぜん、
Ken often picks his nose. She often sees him doing so.
でしたら何の問題もないということになります。
まとめますね。
②動詞のdo
⇒ soやit / thatを伴う
do soとdo it / thatの違い
最後にdo so とdo it / thatの違いですが、
まずdo it / that を使う場合、基本的に「主語が異なる」というルールがあります。
例
Jack: She often makes up in the train.
「彼女、ときたま、電車のなかで化粧をしている」
Betty: I do it every morning
「あら、私なんて毎朝そうしているわ」
この場合2つの文の主語が違うのでdo itを使っています。
それに対してdo soは「主語が同じ場合」に使われるのです。
例
Japanese people prefer wooden houses. The reason why they do so is that Japan is very humid in summer.
「日本人は木製の家屋を好みます。その理由は、日本の夏は非常に湿気が多いからです」
この文はJapanese people = theyで主語が同じなのでdo soが使われているんですね。
まとめ
さて、今回はいかがだったでしょうか。一言で「代動詞のdo」といったはいいが、実は2種類存在していたなんて…これはおそらく名称がよくないと思いますね。「代動詞のdo」と「助動詞do以下の省略形」と分けて身につけた方がよろしいかと思います。
ではまた
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