● こんにちは、まこちょです。
今回で英文解釈は第72回を迎えます。って72回!? 私たちってけっこう学習したんですね(笑)
今回は「倒置」の見抜きかたになります。
「倒置」の文って読みにくいですよね。生徒の質問なども「この文はどのような構造をしているのですか?」と英文を持ってくると、たいていは、
① 倒置
② 省略
③ 同格
に関する英文が多いです。それだけこのジャンルはちゃんとしたルールを理解していないと、そもそもこれらの構文が使われてることすら分からないという事態になりやすいんですね。
今回も英文を通じて、「ただ何となく」ではなく「見切ったぜ!」と根拠をもって読んでみるようにしましょう。
本日のお題
① Learning words increases the size of a child’s vocabulary. ② Behind this obvious truth lies a set of complex issues concerning the wide range of information that children employ in learning new words.
この英文は某難関国立大学の入試問題の一部を抜粋したものですが、なかなかしっかりとした読みが必要です。実際の問題は②の文が下線部和訳になっていました。
では読み込んでみましょう!
① Learning words increases the size of a child’s vocabulary.
文頭の~ingの処理
● Learning words increases… ⇒ このカテゴリでも何度も登場している「文頭の~ing」形の処理。今回は短いですからね、Learningから動詞のincreasesまで一気に両目に入ってきてlearning wordsがincreasesの主語(S)であることはあっさり気づくでしょう。
[Learning words](S) increases(V) the size of a child’s vocabulary.
訳「言葉を覚えることは、子供の語い数を増やす ⇒ 言葉を覚えることで、子供の語い数は増える」
文頭の~ingの処理についての記事はこちらで深く学習できます!
www.makocho0828.net
② Behind this obvious truth lies a set of complex issues concerning the wide range of information that children employ in learning new words.
前置詞のついた名詞は文の主語になれない
難しい文ですが、これまでの学習を生かす時がやってきました。丁寧に読み切ってみましょう。
● Behind this obvious truth lies…⇒ 前置詞behindがいい味出してる。これがあるせいでthis obvious truthを主語(S)として読めなくなっています。
× Behind this obvious truth(S) lies(V)…
この時点でなぜ前置詞のついた名詞は主語になれないか分からなかった人はこちらの記事へどうぞ
www.makocho0828.net
もちろん私たちは何度もやり直しができます。this obvious truthが主語(S)になれない今、lies(V)の主語を他に見つけなければなりません。
このとき次のルールが私たちを助けてくれます。
主語(S)は動詞の前になかったら後ろにある
このルールが意外に使える!
<Behind this obvious truth> lies(V) a set of complex issues(S)…
つまりこの文は主語と動詞が逆になって「倒置」しているのだった。
Behind this obvious truth「この明白な事実の背後に(あるのは)」
lie「ある・いる」
a set of~「一連の~」
complex issues「複雑な問題」
訳「この明白な事実の背後に、…一連の複雑な問題がある」
なぜ倒置になっているのか
続けて読んでいくと
… complex issues concerning the wide range of information…
concerning~は「~に関する」という表現で、最近では「前置詞」扱いにすることも多い単語。したがって後ろの名詞と合体して、
… complex issues <concerning the wide range of information>…
と考えると良いでしょう。
the[a] wide range of ~「広範囲な~」
訳「この明白な事実の背後に、…広範囲な情報に関する一連の複雑な問題がある」
そしてさらにこのinformationにthat節が…!
… concerning the wide range of information that children employ in learning new words.
このthatは接続詞として「同格」表現でinformationにかかるのか、それとも関係代名詞としてinformationにかかるのかどっちでしょう?
ここでなぜこの2択になるのかよくわからんという人、こちらの記事へどうぞ
www.makocho0828.net
これを判断するキーは動詞のemployにあります。employは「他動詞」で後ろに絶対目的語(O)、つまり名詞が必要なのだ。
後ろの文をチェックすると
the…information that children employ(V)→(O)なし in learning new words.
したがって
that以下の文が「不完全な文」
↓
thatは関係代名詞
↓
形容詞節としてinformationにかかる
と瞬時に頭がめぐり
…the information ⇐[that children employ in learning new words] .
と解釈が完成していきます。ちなみにemployは「(物・手段)を使う」。目的語が(人)の場合は「(人)を雇う」
訳「この明白な事実の背後に、子供が新しい言葉を覚える際に用いる広範囲な情報に関する一連の複雑な問題がある」
この文をよく見ていただきたいのですが、この文は主語(S)にいろいろな修飾語句が掛かっているために非常に長い文章になっています。したがって文のバランスが悪くなってしまうために主語を後ろに回して「倒置」させているんですね!
また「倒置」している理由にはもう一つ。
Behind this obvious truthはthisでお分かりのように、前の文に一回出てきた箇所です。英語は一度出てきた情報は「旧情報」といって英文のなるべく前の箇所に配置します。後ろのほうは「新情報」を置くことになっているのです。
旧情報・新情報についてもっと知りたい方はこちらの記事へどうぞ
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全体訳「言葉を覚えることで子供の語い数は増える。この明白な事実の背後に、子供が新しい言葉を覚える際に用いる広範囲な情報に関する一連の複雑な問題がある」
まとめ
さて今回はいかがだったでしょうか。「倒置」はしっかりと明確なルールに準じて作られていますので、もし構造が取れなかったとしてもしっかり丁寧にひも解いていけば、おのずとこの文は「倒置」していると分かります。
ぜひ倒置の文を見切ってくださいね!
ではまた
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