この記事は
『倒置』の学習方法が今一つよく分かりません。そもそも倒置って何のためにあるんですか?SVCが突然CVSという形で登場してもOKなら、そもそも5文型などは学習する意味がないのではないでしょうか?そしてもう1つ、百歩譲って『倒置』という形をも認めるにしても、倒置の種類って具体的にどのくらいあるのか分からないので学習手順が分かりません!
と倒置の学習の仕方に悩んでいる英語学習者に向けて記事を書いています。
●いつもありがとうございます、まこちょです。
英文法の単元のなかに「倒置」というジャンルがあるのですが、正直好きな人はあまりいないんじゃないでしょうか。
なぜってせっかくSVOCの5文型を覚えたのに、この型を根底から覆す形が登場するのですから。SVOと学習したのに、突然「実はOSVという倒置形もあるんですよね~」とか説明されても「は?」としか思わないんじゃないでしょうか。
「倒置」についてこれから学習しようと思っている人にとって、どうも今一つこのジャンルに「乗り気」になれないのは、以下のような理由が大半です。
【倒置の学習を積極的にやりたくない人のマインド】
- ① 倒置の文の「存在意義」がよく分からない
- ② 倒置の種類がいったいどのくらいあるのかよく分からない
確かにこの2つの理由についてはよく分かりますね。私なんか高校英語の時、SVOCがSVCOになる場合がある、という話を聞いた時に本気で頭に来たくらいですから。
ただでさえ5文型をモノにするのも難しいのに、せっかく身につけた文型を【崩す】形も学習しなければならないというのがどうしても我慢できなかったんですね。
しかもしぶしぶ「倒置」を学習する段階になっても、倒置の種類って思った以上に多いということが分かったらまたブチ切れですよ(笑)
こんなに倒置について不快感しか持っていない私が英語を教える側に回ったとき、このジャンルに苦労している(怒っている?)英語学習者が非常に多いことに気づいてしまったんですよね。
そこで今回は「倒置」の学習手順について一度しっかりまとめてみようと思いました。
実はこの倒置なのですが、もちろんなんとなくこんな形になっているのではなく、倒置している以上はそれなりの理由があります。
その理由を明らかにして正しい学習手順で勉強すれば、意外に英文中に使われている「倒置」の形にもあっさり気づくことが出来るようになるから不思議です。
以下の記事を読んでみてください。次の点であなたの「倒置」に対するイメージがガラッと変わることは間違いありません。
▶倒置するにはしっかりとした理由があることが分かる
ぜひ倒置の学習手順をマスターしていただいて、スムーズに倒置を自分のものにしてください。
倒置の形は2種類のパターンがあることを知ろう
倒置と一言に言ってもその形には2種類のパターンがあります。具体的に言うと
【倒置の2種類のパターン】
- ①否定の副詞が文頭にあるとき
- ②SVOC文型(5文型)が変形したもの
の2つです。
このうち①の否定の副詞が文頭に出たものは決まりきった形になりますので、実は意外にも学習のしやすい倒置形になります。したがって「倒置初心者」はまず否定の副詞が文頭に出たときの倒置パターンから学習をスタートさせるとよいでしょう。
倒置の学習法①:否定の副詞+疑問文の形
否定の副詞が文頭に出ると倒置します。とはいっても具体的に「倒置する」ってどんな形になるのか分からなければなりませんよね。
否定の副詞が文頭に出ると後ろの文がS+V ⇒ V+Sになります。もしこれでも今一つピンとこない方は、否定の副詞が文頭に出ると、後ろの文は疑問文とおなじ語順になると覚えればよいでしょう。
例
He has never played tennis.
↓
Never has he played tennis.
「彼は一度もテニスをしたことがない」
このように否定の副詞(ここではnever)が文頭に出ると、後ろの文が疑問文の語順になることが非常に重要です。まずは倒置の学習方法第一弾として、以下の記事から攻略を開始しましょう。以下の記事を読むと、次のポイントがはっきりと分かるようになっています。
- ①否定の副詞が文頭に来た時のパターン
- ②なぜ倒置するのか
特に②が重要です。もちろん倒置するのは否定副詞を強調したいから、という側面もあるのですが、それだけだったら何も後ろの文は疑問文と同じ語順になる必要はないですからね。
また、上記の記事はもう1つ、【onlyが文頭に来た時に倒置する】理由もしっかり説明しています。ぜひ確認してみてください。
倒置の学習法②:5文型の倒置パターンは非常に豊富!
否定の副詞が文頭に出たときの倒置パターンを学習したら、いよいよ5文型の倒置パターンについて学習します。
5文型の倒置パターンが否定の副詞の場合と明らかに違う点は、5文型の倒置は疑問文の形になるということがない点です。
例えば以下の表を見てください。先ほどの否定の副詞が文頭に来たパターンが表の一番下になるのですが5文型の倒置パターンはこんなにあるんです。
しかも主語(S)が代名詞のときとそうでない場合で倒置の形が変わったりと非常にやっかいなんですね。
文型 | 通常 | 倒置の形 | 主語が代名詞 |
SV | SVM | MVS | MSV |
SVC | SVC | CVS | CSV |
SVO | SVO | OSV | |
SVOO | SVAB | BSVA | |
SVOC① | SVOC | OSVC | |
SVOC② | SVOC | SVCO | |
SVOC③ | SVOC | CSVO | |
否定の副詞 | 否定の副詞+VS |
したがって5文型の倒置はSVの第一文型から、パターン学習をするしか方法がありません。それぞれ特徴がありますので順番に押さえていきましょう。
まずは以下の記事で5文型がなぜ倒置するのか、その基本的な考え方をマスターしてください。
S+V(第1文型)の倒置
S+V(第1文型)の倒置ですが、S+V+MのM(修飾語句)の部分が主語(S)の前に行くことによる倒置形がメインになります。
例
The rain(S) came(V) down.
↓
Down came(V) the rain(S)
「雨が降ってきた」
なお、第1文型の倒置は主語(S)が代名詞の場合は、MVSという形にならずにMSVとなることが非常に重要です。
例
Down it came.
「それが落ちてきた」
これは、英語の情報の与え方に関わってくるのですが、英語は文末近くに新しい情報を置くのが普通です。そんな場所にすでに一度登場している名詞を置くことは意味がないという理由で、代名詞の主語の場合は主語と動詞を逆にしないんですね。
情報構造の仕組みについては以下の記事に詳しいですので、ぜひ確認してみてください!
なお、修飾語句のMは「場所を表す副詞」がほとんどですが、以下の場合に倒置をすることがほとんどであることも覚えておきましょう。
【修飾語句Mが文頭に来る場合】
- ①場所を表す副詞を強調するため
- ②主語に長い修飾語句がついた場合
- ③リズム
例
In front of the forest was an open field covered with grass and wild flowers.
「森の前面には野原、草と野生の花で覆われた野原が開けていた」
↓
(In front of the forest)=(M)
was(V)
an open field(S) ⇐[covered with grass and wild flowers].
青い箇所が主語を修飾しているために主部が長くなっているので倒置しています。
また、英文ではおなじみのThere is(are)~の文も、実は主語(S)と動詞(V)が倒置している文です。なぜthereが文頭につくのかをここで改めて学習するのも面白いかと。
S+V+C / S+V+O(第2・3文型)の倒置
S+V(第1文型)の倒置の形と、倒置する理由が理解できたらこっちのもの。続けてSVC / SVOの倒置形について学習します。
この2つの文型の倒置のポイントは以下の通り。特にSVOの倒置形は要注意です。
SVOの倒置はSVCの倒置と異なり、OSVの形しかありません。OVSにならない点は押さえておきましょう。
SVCとSVOの倒置形についての具体的な内容は以下の記事で確認することができます。特にCVSとOSVではなぜ主語と動詞の位置が違うのかは要チェック!
S+V+O+C(第5文型)の倒置
最後にSVOC(第5文型)の倒置について学習します。
SVOCの倒置はSVCOの語順になることがほとんどですが、このSVCOはO(目的語)に修飾語句がついて長くなってしまったために、Oを文末に移動したものなので、正確に言うと「倒置」ではありません。
ですがこのSVCOの形に気づかないと英文リーディング的に非常に苦しみます。ぜひ、以下の記事の内容を押さえていつでも対処できるようにしておいたほうが無難です。
倒置の学習方法:まとめ
さて、今回は「倒置」の学習方法についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。ここまで学習すると倒置についてだいぶ慣れてきます。
そこで最後に倒置についての練習問題をこなしましょう。以下の2つの記事がおススメですが、特にSoやSuchが文頭に出た倒置形は苦手な方が多いようです。ぜひ以下の記事をチャレンジしてみてください。
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