この記事は
「英文法の『比較』が大の苦手なんです。比較って二つの文章がくっついているというのは理屈でわかるのですがasやthan以下の英文が省略されているものもあるし…。やっててごちゃごちゃします。『比較』を効率よく学習する方法ってないかなぁ」
と悩んでいる英語学習者向けに記事を書いています。
● みなさんこんにちは、まこちょです。
英文法の単元に「比較」という項目があるのですが、この単元ほど勘違いが多い単元もありません。例えば以下の例文なのですが、中学生で学習する簡単な例文ですよね。
例
I am taller than you
「私はあなたより背が高い」
ところがこの例文ですら「比較」が苦手な方は壮大な勘違いをしている場合があるんです。
だって信じられます?比較級と一緒に使うおなじみのthanが実は「接続詞」であるという事実。この例文を見てください。thanの後ろにはyouという単語が一語あるのみなんです。
接続詞の後ろは主語(S)と動詞(V)、つまり「文」が来るということを知っている人には、まさかこのthanが接続詞だなんて夢にも思わないのではないでしょうか。
このように「比較」というのはところどころに英語学習者を混乱に落としいれる箇所があります。その間違いポイントを意識しないで漠然と学習を続けると、間違ったまま「比較」の項目を覚えてしまうので非常に怖いですね。
そこで今回は「比較」の英文法単元を間違えずに、正しく効率よく学習する方法・手順を徹底解説します。以下の記事を読むと
- 「比較」の英文法単元では何がポイントなのか
- 「比較」で注意すべき箇所
- 「比較」の項目を効率よく学習する手順
がはっきり分かります。
ぜひ最後までお読みいただいて、今後の英語学習に役立ててくだされば幸いです。
比較の学習手順の基礎はこれだ
「比較」について学習するときに、まず何から始めるのかというと比較級と最上級はそれぞれ比較する「数」が異なるという点です。
比べる対象が「2つ」なければそもそも比較することができない
- 比較級 ⇒ 2つのもの(人)を比べる
- 最上級 ⇒ 3つ以上のもの(人)を比べる
そんなもの分かってるよ!と言われそうですが、この点は非常に重要です。比較級は2つの対象を比べる用法です。
したがって対象が「1つ」しかないものは、そもそも「比べること」すらできないので比較級にすることはできません。例えば
例
He is happy.
この文ですが、対象が「He(彼)」しかいませんので比較級にしたくてもできない、という点は、これから比較級を学習する人にまず言いたいことなんです。
比較の対象は必ず「同じ形」をする
また比較する対象も何でもいいわけではありません。
例えばみなさんは「ゾウ」と「アリ」を比べて『「アリ」よりも「ゾウ」のが大きい』なんていちいち比べません。なぜだか分かりますか?
それは比較しなくても分かるからです。
それは裏を返せば、比較する対象は「極めて似ている」ということになりますよね。一見すると判断がつきかねるから、私たちは「比べる」んです。
こっちの【シャツ】とあちらの【シャツ】を見比べるのはシャツ自体の形状が極めて似ているからですよね。
英語の比較はさらにシビアに行われます。以下の条件を満たさなければ英語は比較することができません。
- 形状が極めて似ている
- 文法的に同じ
特に②に注目してください。例えば以下の英文は比較級ですが、なぜthan以下がheになっているかお分かりでしょうか。
例
She is much taller than he.
「彼女は彼よりもはるかに背が高い」
それは比べる対象の片方がSheで「主格」ですので、彼も同様に主格の「he」にしているというわけです。
このように比較級は「基礎」の部分が極めて重要であることを、学習するときに理解しながら進めなければなりません。
以下の記事は比較の概略をつかむのに非常に適しています。ぜひ一読することをおススメします。
asとthanは「接続詞」であることを知ろう
as~as…「…と同じくらい~だ」と-er (more – than…)は2つの対象を比べているという点で両方とも「比較級」ですが、後ろのasとthanは接続詞であることを意識することが極めて重要です。
接続詞は後ろに主語(S)と動詞(V)、つまり文が来るというのは非常に重要なルールなのですが、なぜかasやthanの後ろはその意識が薄くなるようですね。
接続詞の後ろの形については以下の記事を参照してください
例えば
例
He doesn’t sing as well as his sister.
ですが、his sisterは名詞ですので、ともすればasは「前置詞」に見えますよね。
ですが後ろのasは「接続詞」という点に注目すると、このhis sisterが全く別物に見えてくるから不思議です。
そうこのmy sisterは文の主語(S)で、もともとは
He doesn’t sing as well as his sister(S) sings(V).
↓
He doesn’t sing as well as his sister(S) does(V).
↓
He doesn’t sing as well as his sister(S) (does).
とas以下の文が一部省略されているんですね。これもasが接続詞で本来ならas + S+Vという形になるはずだという考えがあるからこそだということを理解してください。
as / thanは接続詞であることをしっかり理解したい人は以下の記事を読んでみてください。
● as~as と 比較級than の後の代名詞は「主格」か「目的格」か徹底検証してみた
● 比較級 than以下の省略はなぜ起こるのか?同じ形の反復をしっかり攻略する!
as ~ asの文のポイント
まずはas ~ asの文を学習するのですが、その時のポイントとして、最初のasの後ろは必ず形容詞か副詞が来るという点は重要です。図解すると
as 形容詞・副詞 ~as…
という形になるんですね。
この点で特に間違えるのが「私はあなたと同じくらいの数の本を持っています」という表現です。このときは、as many books asという形で名詞もas とasの間にはさめるのですが、これを
× I have books as many as you.
と間違ってしまう場合が多発します。
◎ I have as many books as you (do).
as many + 可算名詞 as
as much + 不可算名詞 as
の形をしっかり押さえておきましょう。なお as~asと-er thanの英文は、作成した後に【自分で確認チェックができます】。以下の記事を読んでいただけると幸いです。
-er (more-) than…
続いて-er thanの学習に入ります。比較級の代表的な形ですが、学習手順として
- lessを使う比較級
- 比較級の強調(差が大きい場合と小さい場合)
- 「差」を具体的に表す比較級
- than以下を省略する場合
を順に押さえていきましょう。
例① less~than
This car is less expensive than that one.
「この車はあの車より値段が高くない」
= This car is not as(so) expensive as that one.
例② 比較級の強調
China is much larger than Japan.
「中国は日本よりずっと広い」
(引用:weblio英和辞典)
比較級の「強調表現」について具体的に学習したい場合は以下の記事がおすすめです。
比較級の強調表現much / far / a lot / even / stillの違いとは?徹底的に使い分けてみた!【やさしく語る英文法29】...
特に more books thanの強調の形であるmany more books thanはかなりの英文法マスター(?)でも間違える箇所なので要注意です。
例③ 「差」を具体的に表す比較級
Sue is three years younger than Tim.
「ス―はティムより3歳年下だ」
この用法は具体的な「差」表す箇所をthan以下に置くパターンも要注意です。
= Sue is younger than Tim by three years.
例④なのですが、基本的に比較級はthanがあるから「比較級」なんです。比較級を語るのに絶対必要なthanが英文中にないから大問題なんですね。
もちろん何となくthanがないのではありません。しっかりとした根拠があってthan以下が【消えて】いますので、そのポイントは逃さないようにしましょう。
例② than以下がないパターン
例
I have to practice basketball harder this year.
「今年はバスケットボールをもっと頑張って練習しなければならない」
なぜthan以下がないのかを詳しく学習したい人は以下の記事を参照してください。
最上級表現
最上級のポイントはなんといってもthe 最上級+in(of)~の形が重要で、特にinとofの使いわけを最初は意識して学習しましょう。
また最上級も応用系の形が多いですね。特に注意すべきポイントは
- 最上級の強調表現
- 「~番目に…だ」の最上級表現
- 「もっとも~のうちの1つ」の最上級
- theがつかない最上級
最上級の強調表現はby farとmuchをしっかり押さえましょう。また、比較級の強調表現では絶対に使えないveryも使えるという点は重要です。
最上級の強調表現については以下の記事を参照すると理解が深まります。
例②
This is the third most popular song in the hit chart this week.
「これは、今週のヒットチャートで第3位の歌です」
例③
This is one of the nicest rooms in the hotel.
「ここは、このホテルで最もよい部屋の1つです」
また例④のtheがつかない最上級はなかなか難しく、まずは比較級・最上級の基礎を会得したい人は、この箇所は後回しにしても良いかもしれません。
もし気になる人は以下の記事を一度読んでみてください。theのない最上級のからくりが分かります。
比較級を使った最上級表現
この時点で比較級と最上級の基礎を会得したら、次は比較級を使った最上表現を学習します。
この時の注意点は、中学英語で触れる以下の例文を使って、比較級をつかった最上級表現を思い出すことが重要です。
例
This leg is fatter than any other leg.
「この足は他の足よりも太い」
(引用:weblio英和辞書)
= This leg is the fattest of all legs
【注意点】 このthan any other 単数名詞はotherを省略することが可能なのですが、省略すると内容がだいぶ変わります。その違いについて知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
比較級・最上級応用表現
ここまで学習すると比較級・最上級の全体像が見えてくると思いますので、ここからは「応用の形」を学習しても問題なくいけるかと。
as~asの特殊表現
ビックリするかもしれませんがas~asの特殊表現はこんなにあるんですよ。ざっと並べてみると以下の通りなのですが、どれもこれも入試試験頻出。必ずモノにしておきましょう。
① as ~ as possible = as ~ as S can(could)「できるだけ~」
例
The doctor came as quickly as possible.
= The doctor came as quickly as he could.
「医者はできるだけ急いでやってきた」
この表現のポイントは
- possibleとS can could)の箇所を混ぜないように気をつける
- Sとcanの時制は全体の主語と時制と同じにする
の2点です。
② as ~ as ever 「相変わらず」 / as ~ as ever lived 「きわめて」
例
She looks as cheerful as ever.
「彼女はあいかわらず元気そうだ」
She is as great an actress as ever lived.
「彼女はきわめて偉大な女優だ」
この表現の学習ポイントはeverの使い方です。everは通常疑問文で使いますので、この表現のeverの使い方は実はかなり例外的なものになります。
everの例外的な使い方を詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
③ as many / much as +数詞
「強調表現」で訳しかたは「~もの」と訳しましょう。manyのときは「数」、muchのときは「量」を表すときに使います。
例
As many as fifty birds spend the winter here.
「50羽もの鳥がここで冬を過ごす」
例
I paid as much as 250 dollars for this sweater.
「このセーターに250ドルも出した」
【その他のas ~asを使った表現】
● not so much A as B
=B rather than A
「AというよりはむしろB」
● as good as ~
「ほとんど~と同じ」
※as well asの違いとしてよくas good asが問われます。以下の記事が非常に詳しいです。
比較級の応用表現についてのワンポイント
続いては比較級の応用表現について学習します。数が多いので正直うんざりしますが、ちょっと踏ん張りどころですね(笑)
それぞれの表現を学習する際に、この点だけは要注意!の箇所をワンポイントで解説してみました。実際の授業でも必ず触れるポイントになっていますので、まこちょの一言、ぜひ押さえておいてください。
the 比較級 of the two~「2つの内で一番~だ」
【まこちょの一言ポイント】 この表現のポイントを一言で表すとすれば、「2つの対象を比較しているのに最上級表現の意味になる」と言ったところでしょうか。
本来最上級表現というのは「【3つ以上を比べて】一番~だ」と表現する用法です。したがって2つの対象を比べるときには最上級表現は使えないはずなのです。
そういった背景からこの構文、非常に中途半端な形をしていますよね。theがついているのに後ろが比較級になっています。
twoという文字を使った以上the + 最上級を使えない事情というものを理解すると、逆に定着するのは早いかと。
例
This is the heavier of the two bags.
「2つのカバンの中では、こちらの方が重い」
比較級 and 比較級「ますます~、しだいに~」
【まこちょの一言ポイント】 通常はsmaller and smallerのように比較級-erを使って表現すればよいこの形ですが、-erをつけられない単語の場合はmore and more – という形にします。
例
More and more teenagers are using cell phones.
「携帯電話を使うティーンエイジャーがますます増えています」
the 比較級 S+V… , the 比較級 S+V~「…であればあるほど、それだけいっそう~だ」
【まこちょの一言ポイント】 非常に出題頻度が高いこの構文。おそらく「比較」が関わるテスト系で、出題されないことはないんじゃないか、というくらい頻出です。
この構文は非常に応用範囲が広いので、以下の記事を本気で熟読しておきましょう。
all the 比較級 for (because)~「~だから(それだけ)いっそう…である」
【まこちょの一言ポイント】 この構文も「theがついているのに比較級-erシリーズ(?)」で登場する構文です。ポイントはfor の時は名詞、becauseのときはS+Vと使い分けているという点です。
例
I like her all the better for it.
「それだからこそいっそう彼女が好きだ」
(引用:weblio英和・和英辞書より)
例
She works all the harder because she has a child.
「彼女は子供がいるので、それだけいっそう一生懸命働くのです」
この他にも比較級は様々な表現があります。あまりにも多いので比較級の特殊構文をまとめた記事があります。ぜひ以下の記事を読んでみてください、比較級のちょっとした注意点がわかります。
比較級最大のヤマ!?no more than / no less than
さぁ、やってまいりました(笑)比較級を学習する英語学習者にとってこれほど嫌いな箇所はないのではないでしょうか。
それがno more than とno less thanなどの使い方。
正直こんなの好きな日本人いるわけねぇ!と心の中ではいつも思っております(笑)非常にやっかいですが、なんとしても乗り越えなければ明日はないです。
当ブログもこの点につきましてはこれまで徹底的にタックルしてきました。まだまだ完璧な学習方法は確立していないのですが、それなりに「忘れない」法則を編み出していると自負しています。
とくに「クジラ構文」が苦手な人はぜひ以下の記事に取り組んでみてください。
あとがき
今回は「比較」の単元についての学習手順についてまとめてみました。
この記事を最後まで読んでいただいた方はお気づきかと思うのですが、比較級は正しく覚えなければならない箇所が多いために、必然的に内部リンクが非常に多い記事になってしまいました。
しかしそれは、裏をかえせば比較の表現は単に暗記するだけでなく、理解が必要であるからこその記事数であると捉えてくれれば幸いです。
最後に、この記事で得た知識を利用して実際に大学入試英文法問題にチャレンジしてみましょう。
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ぜひ比較の学習する際の参考にしていただければとおもいます。
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