● こんにちは、まこちょです。
最近生徒から分詞構文の問題解法について質問をつけることが多いです。
分詞構文については、私も以前、「分詞構文とは?用法と作り方を練習問題で簡単にマスターしよう!」という記事でご紹介させていただいたことがあるのですが、今回の生徒の質問はちょっと別な方向からのものでした。
思わず「なるほど」と思ってしまったので、ここにご紹介しますね。なんでもその生徒が言うには

「先生、4択問題で分詞構文の問題をやっている時たまに思うのですが、そもそもなぜ( )に分詞を入れなければならないと分かるのでしょうか?
分詞構文の問題をやっていると解く前から【そういう頭】になっているから、( )のなかに何の疑問も持たずに~ingや~edを入れている自分がいます。
でもこれって冷静に考えるとおかしいですよね。入試問題はどこから出題されるか分からないから、最初から偏見を持って問題に当たっていても実際の入試には効果がないと思うのですがいかがでしょうか?」
というもの。なるほど、この生徒はよく考えていますよね。
確かに入試や資格試験(TOEIC等)では、通常学校で行われる定期テストと違って出題範囲があるわけではありません(正確に言うとあるのですが、その範囲が広すぎて絞りきれないですね)。
定期テストでは極端な話、出題範囲をしっかりと【暗記】をするだけでそこそこの点数を取れてしまいますから、途中のプロセスはどうでもいいから出題範囲を「丸暗記」してテストに臨む生徒が多いかと思うんですよ。
例えば今回は「助動詞」が範囲だから主要な助動詞の例文を全部暗記しちゃえ!とか。
ですが入試ではそうはいかないですよね。なんせ出題範囲は「これまで学習した範囲【すべて】」だから。
そうするとこの生徒の指摘通り、今回の学習範囲は「分詞構文」だから、とりあえず( )には~ingか~edが入るんだろ?という考えで学習をしても、実践ではへたするとまったく役に立たない可能性が高いですね。
だってそのカッコにはto不定詞が入るかもしれませんし、もしかしたら接続詞かもしれませんよ?
そういった考え方を防ぐために、ある程度単元別で問題演習をこなしたら英文法・語法が「ランダム」に掲載されている問題集を一冊奮発して、どこから出題されているか分からない状態で問題に当たるのが良いかと思います。やはり実践力というのは大事ですから。
参考までに以下の問題集なんかが受験生達に人気ですね
そこで今回は( )の中にto不定詞でも節でもない、なぜ分詞が入るのかその点にポイントを絞って実際の入試問題に当たってみようかなと思います。
やはり【全英文法単元】に共通する考えが確立していないと、どんな入試問題がきても柔軟に対応することはできません。
ぜひ今回の考え方をモノにしていただいて入試に向けた実践力をつけてくださいね。
分詞構文の基本問題を解いてみよう
【問題】( )の中に適切な選択肢を選びなさい
(1) ( ) up, I saw a swan flying right over my head.
- Looking
- To look
- I looked
- Being looked
(2) ( ) from the plane, the islands were very pretty.
- Seeing
- Seen
- To see
- Having seen
(3) ( ) that night, we could not observe the moon.
- Having rained
- It was raining
- It having rained
- Raining
特に今回は、そのそもこれらの問題は「分詞構文」の問題なのか?というところが自分でわかる、というのをテーマに学習してみましょう。
英文と接続詞の関係について
(1) ( ) up, I saw a swan flying right over my head.
- Looking
- To look
- I looked
- Being looked
この問題は典型的な入試問題なのですが、まず前提として、この( )に【動詞が入らない】ということがこの時点でわからないといけません。
なぜ動詞が入らないのでしょうか。その理由はしっかりと言えるようになりましょう。そうすれば( )の中に今回は分詞構文をやっているから、とかいう理由で~ing入れる、ということはなくなるはずです。
ちょっと以下の例を見てください。
例
I play tennis, you play tennis, too.
この英文ですが、英作文の答案としてはアウト、つまり間違っているんです。
そしてこの英作文のどこが間違っているかを正確に言えれば、今回の問題の( )に動詞が入らないで、分詞が入る理由が分かるようになります。
この文は、カンマを挟んで2文がくっついていますが、本来2つの文をつなげるには「接続詞」というものが必要です。
英語では、接続詞と英文の数については「ある法則」で使われます。それは
英文の動詞の数―1=その英文に使われる接続詞の数
という公式。英文が2つあるということは、S+Vが2つあるということ、さらに細かく言えば動詞(V)が2つあることを意味します。つまり
2-1=1
で、英文中に接続詞が【必ず】1つなければいけません。つまり以下のように接続詞がないとダメということですよね。
I play tennis, and you play tennis, too.
このように接続詞と英文の数(正確に言うと動詞の数)は非常に密接な関係にあることをまずは理解してください。
こういった知識をもって今回の問題(1)を見てみましょう。そうすると選択肢のうち③の選択肢はすでに使うことができないことが分からなければなりません。
なぜならこの選択肢を入れた瞬間、全体で動詞の数が「2」になってしまうから。
I looked up, I saw a swan flying right over my head.
なぜ、動詞の数が「2」になるとマズイのかもうお分かりかと。そうすると2-1=1で、接続詞が必ず「1つ」必要になりますが、この文のどこを見ても接続詞なぞ影も形もないんです。
ということは、すでにsaw(see)が【確定】で見えているこの文は、( )の中に動詞(V)が入ってしまうと必然的に接続詞も1つ必要になることが分かるかと思います。
ですが選択肢のどれを見ても「接続詞」を使っている文がない。ということは…?
そう( )には、もはや【動詞を入れることができない】ということです。これが動詞を使っている③がまず外せるという判断の根拠になるわけですね。
動名詞や分詞、to不定詞は、もはや「動詞ではない」のでカウントされません。つまり( )のなかにいくら入れても結構。したがって①、②、④はどれも入る可能性があります。
つまりここからは別のアプローチで選択肢に当たらなければなりません。
文頭のTo不定詞の訳しかた
②の選択肢を入れると、文頭にTo不定詞がくる文が出来上がるわけですが、文頭のTo不定詞は副詞句の場合訳し方が決まっています。その種類は2種類。まとめておきましょう。
文頭のto不定詞の訳し方
① 目的:「~するために」
② 条件:「もし~ならば」
この2つしか訳し方がないんです。そうするとどちらを入れたとしても文意がそぐわないのが分かるかと。
To look up, I saw a swan flying right over my head.
目的:「見上げるために、私は白鳥が頭上すぐを飛んでいるのを見た」?
条件:「もし見上げれば、私は白鳥が頭上すぐを飛んでいるのを見た」?
なんか意味が分かりませんね(笑)
自動詞は「受動態」にできない
④の選択肢ですが、よく見るとbe lookedの形ですから「受動態」であると分かるかと思います。ところで受動態の基本ルールは、動詞の目的語を主語にする、でしたよね。
この辺の説明は「受動態」と「能動態」は果たして同じ意味なのか?徹底検証してみた!【前編】と「受動態」で必ずby以下をつけなければいけない状況とは?【後編】で一度記事に起こしてあります。
ところが、自動詞はそもそも動詞の後ろに目的語(名詞)がありませんから受動態にしようがないんですよね。lookは自動詞ですので受動態にすることができないのです。
自動詞・他動詞について詳しく学習したい方は「英語の自動詞と他動詞の見分け方とは?練習問題で違いを区別しよう!」で確認してみましょう。
したがって今回の選択肢は①が正解。
When I looked up, I saw a swan flying right over my head.
↓
Looking up, I saw a swan flying right over my head.
と分詞構文化した英文だったのです。
分詞構文の主語に注目する
(2) ( ) from the plane, the islands were very pretty.
- Seeing
- Seen
- To see
- Having seen
この問題も選択肢に動詞がありません。したがって形の上ならばどれでも入る可能性がありますね。
くどいようですが、動詞を( )に入れてしまうと接続詞が1つ必要になってしまいますからマズイわけです。
この問題の解き方の方法は2種類あってどちらに注目しても問題は解けます。その2つとは
①分詞構文の主語に注目する
②動詞の種類に注目する
の2点ですね。せっかくですから両方のアプローチで問題を解いてみます。
分詞構文の主語に注目する
この選択肢、どれを入れても主語がないことに注目しましょう。なぜないのかというと、分詞構文は主節の主語と同じ場合は主語を省略することができるからですね。
この英文の主語はthe islandsですから、分詞構文の主語もthe islands、つまり「島」ですよね。ちょっと( )の前に置いてみましょうか。
島【は】( ) from the plane, the islands were very pretty.
この時、主語ですから「~【は・が】」と強調することがポイント。選択肢の分詞はすべてseeですから「見る」ですよね。つまり
島【は】飛行機から(見る/見られる)
ということになります。「見る」を選択してしまうと、まるで「島」に目があるみたいです(笑)島が飛行機から何を見るのですか?
そう、島【は】「見る」じゃないですよね、島【は】「(誰かに)見られる」わけです。つまりこの箇所は受動態であった可能性が極めて高いということが分かります。
When the islands were seen from the plane, …
この文を分詞構文にしてみましょう。分詞構文の基本的な作り方は以下の記事を参考にしてください。

まず接続詞を消し
When the islands were seen from the plane, …
主語も主節と同じなので消す
When the islands were seen from the plane, …
動詞を分詞(~ing)の形にして分詞構文の完成。
Being seen from the plane, …
分詞構文は文頭がBeingのときは「省略」できるので消すと
Seen from the plane…
となるはずです。したがって答えは②が正解。訳「飛行機から見ると、その島々はかなり可愛い形だった」
動詞の種類から答えを出す方法
以上の方法で答えは出すことが可能なのですが、英単語、特に動詞に詳しい人は以上の手順を踏まなくても答えを出すことができるんです。
ポイントはやはり「自動詞・他動詞」。とにかくこの点は動詞学習の生命線と言ってもいいですね。
seeは動詞で使った場合、必ず「他動詞」になります。つまり形では必ずこうなるはずですね。
see +名詞
この動詞の性質ですが、この性質は以下の時にもしっかりと残っています。
いくら形上では動詞ではなくなっていると言えども、もともとは動詞から派生したものですから、たとえ準動詞(不定詞・動名詞・分詞)に形を変えたといってもしっかりと他動詞・自動詞の性質を受け継いでいるんですね。
例えば以下の形でも元々の動詞が他動詞ならば後ろには名詞が必要です。
- Seeing +名詞
- To see+名詞
- Having seen+名詞
つまり①、③、④の選択肢は後ろに名詞が必要なのですが、あるのはfromという前置詞だけ。つまりseeの使い方に反しているというわけです。
ではなぜseenの選択肢は後ろに名詞がなくても平気なのか?ここがしっかりと考えられた人は英語をロジックで考えられる理系脳をもつ人です(笑)あ、ちなみに私はコテコテの文系ですけどね。
A see B
↓
B is seen by A
↓
by Aは省略可能
↓
B is seen
ね?他動詞のseeであるにもかかわらず、後ろの名詞を消すことができる手段はただ一つ、後ろの名詞を前に持っていく「受動態」の形しかないというわけです。
主語が違う場合の分詞構文を攻略する
(3) ( ) that night, we could not observe the moon.
- Having rained
- It was raining
- It having rained
- Raining
いやぁ~「真剣に分かる」って大変ですよね(笑)最後はサクっと終わりましょう。終わればですが。
まずは先ほどのテクを使って2の選択肢を消していきます。wasを使ってしまったら後ろのobserveと合わせて動詞が2つ。
したがって接続詞が必ず1つ必要なのですがない、という一連のコンボをこなします。ここまでは最終的に「空気」のように過ぎる作業になりましょう。
ところでみなさんは「天気」の文を作るときには必ずItからスタートと中学生のときに教わっているかと思います。
例
It is going to rain tomorrow.
「明日、雨が降る予定だ」
そう、「天気」の文というのは主語がItで表現するのが一般的(これを通常「天気」のItと言ったりします)なので、そうすると後ろの文と主語が違うことになりますね。
分詞構文は主語が違う場合、~ingの前に主語を残さなければなりません。したがってこの文、Itが残っていなければならないということですから、Itの存在が微塵もない4の選択肢はアウトということになります。
ということは残りは1と3ということになりますが、ここで「何言ってるんだよ、まこちょ。1だってItがないじゃないか、終わりだよこの問題は」とか声が聞こえてきそうです。
はたしてそうかな…?ニヤリ
天気の文のもう一つの形
みなさんは、実は中学の時にもう1つの「天気の文」の表しかたを学習しています。この書き換えパターンを覚えていますか?
例
It rains.
= We have rain.
そう、Itから始まる天気の文は、We have ~の文に書き換えすることが可能です、ってちょっと待て、あれ….?? まさか…? じゃあこの問題、もしwe haveの形で天気を表現していたとしたら
As we had rain that night, we could not observe the moon.
え?…あれ?weが主語ということは、後ろの文の主語と一緒…ということは
おい!主語をつけなくてもいい分詞構文が作れるってこと???
さぁ盛り上がってまいりました(笑)その通り、この文はWe have~で始まる分詞構文を作った場合、主語がweで一致しますから、~ingの前に主語を残す必要がなくなります。
つまり選択肢1はワンチャンあるってことですね!いや、これは面倒くさいことになったよ…
ではなぜ、今回はこの選択肢1が正解から外すことができるのでしょう。それはちょっとしたトリックがあるからですね。気づいたかな?
天気の文はIt で始まった文はrainを【動詞】として使いますが、we have~で始まる天気の文はhaveが動詞。つまりrainは【名詞】なのです。
It rains(snows). ← rain / snowは動詞で使う
We have rain/snow. ← rain / snowは名詞で使う
rain / snowは動詞と名詞が同じ形をしているのだった!
したがって、もし選択肢の1が( )の中に入れることが可能なら、以下のような形になっていなければおかしいということになりますよね。
As we had rain that night, we could not observe the moon.
↓
Having rain that night, we could not observe the moon.
ところが今回の選択肢1を使うとこうなってしまいます。
Having rained that night, we could not observe the moon.
選択肢1が非常に紙一重で間違っていることに気づいてくれたでしょうか?
この選択肢1は今回不正解なのですが、この選択肢、ワンチャンであり得ると思い、慎重に吟味して今回は外すことができた人と、こんな選択肢なんてあるわけないだろ!?と全くノーチャンスで正解の候補から外してしまった人との実力差は天と地の差があることを知ってください。
なお天気の文についての攻略は「rain、rainy、rainingの違いとは?「雨が降る」を英語で表現してみよう!」の記事で詳細に説明しています。ぜひのぞいてみてくださいね!
あとがき
今回は分詞構文の入試問題について、しっかりとみなさんと戦ってみましたがいかがでしたでしょうか。
英文法問題は「総力戦」です。これまで学習したことを自由自在に引き出すのはなかなか難しいことですよね。
ですが、これまであなたがやったコツコツ型のインプット作業は決して無駄になりません。ぜひ、しつこく問題と戦ってみてくださいね。
また会いましょう。
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