● みなさんこんにちは、まこちょです。
先日、生徒から唐突にこんな質問があったんですよね。

「あのー形容詞って後ろに目的語(O)を持てるものなのでしょうか?先日そういった英文を見たことがあったもので」
あん? ⇐ !!!??
…失礼しました。ガラが悪かったですね。
なぜこのような態度を取ったのかというと、通常は英語の文型上、形容詞の後ろには目的語を置くことができません(※ここでいう文型とは基本5文型を指します。SVCOといった特殊な形(倒置)などは考慮していませんのであしからず)。
そもそも英語でいう形容詞の使い方は
- 名詞を修飾する
- 動詞の補語(C)となる
の2つしかありません。
例
He is a happy man.
「彼は幸せな男だ」
⇒ happyが後ろの名詞を修飾している
He is happy.
「彼は幸せだ」
⇒ 動詞isの補語(C)となっている
5文型の形を見ても
- S+V
- S+V+C
- S+V+O
- S+V+O+O
- S+V+O+C
と形容詞を使う文型はS+V+C(第2文型)とS+V+O+C(第5文型)の2つしかなく、補語(C)として形容詞を使うと、両文型とも後ろに名詞を置くことはないのが分かるかと思います。
ところがですね、形容詞の後ろに本来ならば絶対に目的語を置くことはできないはずなのに、英語の構文の中には、どう見ても形容詞+目的語として表現しているとしか思えない構文の形があったりするんです。
例えば以下のようなものはよく見る形なのですが、冷静になるとちょっと変な形ですよね。
例
It’s not worth a penny.
「それは 1 文の価値もない」
この文は結構有名で、worthの品詞はもともと「形容詞」です。ところがworthは後ろに名詞をつけて
worth + 名詞(動名詞も可)
という形で使うのが一般的です。つまりこの文は
S+V+形容詞+名詞
と極めて不思議な形をしているということですよね。
実はこのworthの「品詞問題」については以前当ブログで徹底検証してみたことがあります。かなり熱く取り上げたこともあって、各方面から貴重な意見をいただけた思い出深い記事になりました。

ところで、5文型の概念からすると、明らかに「異常な形」をしているこの構文、実は他にもあるんですよね。
そこで今回はworthと同じ形を取る「形容詞+目的語(O)」の表現を完全網羅してみようかなと。
以下の記事を読了すると次の点であなたの英語学習能力は向上します。
ぜひ、会得していただいて、特殊な形に出くわしても慌てないように備えておきましょう。
後ろに目的語をとる形容詞の種類はこれだ
この形容詞+目的語(O)の形をする英単語なのですが、worthだけではなく意外と多いことが分かりました。
以下にまとめてみましたのでぜひ心の英語ストック(?)のなかに加えてやってください。
like「似ている」/ unlike「似ていない」
likeには「似ている」という意味があるのですが、この場合の品詞は「形容詞」です。
例
She is just like her mother.
「彼女はじつに母親似だ」
もし仮にこの英文にSVOCを振るとこうなります。
She(S) is(V) just like(C) her mother.
そうすると、本来ならlikeで文型が終わっているはずなのに、上記の青い部分の名詞が形容詞の後に続いているんです。これは言われてみればおかしいですよね。
このように形容詞のlikeがbe / feel / look / seem / smell / sound / tasteなどの動詞の後ろに使われた場合、
be(feelなど) like +名詞
の形で使われることがほとんどなので、このlikeを「形容詞」ではなく「前置詞」として定義している辞書が多くなってきました(私の持っているジーニアス辞書も前置詞表記がされています)。
なるほど、確かに前置詞として考えるなら「前置詞+目的語(O)」として考えるのは不思議でもなんでもありませんよね。
またlikeにはmore likeの有名な英語表現があります。絶対に押さえておきましょう。
例
That’s more like it.
「そうこなくっちゃ(そうだその調子だ)」
opposite「反対の」/ near 「近く」
この単語も形容詞にもかかわらず後ろに名詞をつけて表現することの多い単語ですね。
通常はopposite to 名詞という形で使いますが、このopposite自体を形容詞ではなく「前置詞」として扱うことが多いので、このto自体を省略するのが圧倒的です。
例
The bank is opposite (to) the station.
「その銀行は駅の向かい側にある」
ちなみに同様の使い方にnear「~の近くに」もあります。
nearは「形容詞」ですので比較級や最上級に変化させることができますが、その場合は後ろにtoをつけて表現することが多いです(ちなみに省くこともできます)。
例
Tom lives nearest the school.
「トムは学校の一番近くに住んでいる」
例
The work is near completion.
「仕事は完成に近づいている」
こうしてみるとやはり形容詞+目的語(O)として考えるよりは、「前置詞+目的語(O)」として扱った方が、5文型のルールから外れないという点でいいのかなと個人的には思いますね。
あとがき
今回は形容詞なのに後ろに名詞を取る種類について解説しました。
確かにworthを筆頭にどう考えても形容詞なのに、後ろに名詞を伴って表現するのがメインの単語になると、むしろ形容詞を「前置詞」として捉えたほうが効率がいいですし、実際にそうしている辞書も多いですね。
ただし、形容詞の後ろに名詞が続くことがあるというのは、かなり独特の形をしていることは確かですので、worthなどの形容詞+名詞の形になれておくことが重要です。
ぜひマスターしてください!また会いましょう。
コメント