● みなさんこんにちは、まこちょです。
to不定詞の用法は、名詞用法・形容詞用法・副詞用法なんてあったりして、なかなか英語学習者のみなさんを「困らせる」単元かと思います。
思わず「『~すること』だの『~するために』だの、どれか1つにしろよ!」と毒づいた受験生も多いんじゃないでしょうか。
今回ご紹介する疑問詞+to Vも、to不定詞を使っていることから「不定詞」の単元に入るのですが、この形、意外と受験生が間違えることが分かってしまいました。
センター試験の整序問題などに登場したりする常連なんですけどね。先日もある生徒から、
「先生、疑問詞+toVについて質問なのですが、最近この不定詞の形で【変な】形に遭遇しました。ありゃなんですか?」
と質問を受けました。「変な形」ってなんですか?と思わず思ったのですが、その生徒が持ってきた問題を見て納得。なるほど、この形は確かに「慣れ」が必要かと思います。
ちょっとこの問題については伏せておきますが、今回はこの疑問詞 to Vの形についての不定詞用法について徹底解説。
意外に油断しているとやられてしまう疑問詞+to Vについて、しっかりとモノにしてくれれば幸いです。
疑問詞+to Vの基本形
まずは基本事項を押さえましょう。この疑問詞+to Vなのですが、不定詞の名詞用法に属します。したがって、英文で「名詞」が使う場所ではこの形もすべて使うことが可能。
● 疑問詞+to Vの基本
① 名詞用法
② S / O / C / 前置詞の目的語(O)になる
例①
I didn’t know what to do on such a big stage.
「そんな大きなステージ上で、私は何をすればよいか分からなかった」
この文ではwhat to doが knowの目的語(O)として使われています。
I(S) didn’t know(V) [what to do]=(O) on such a big stage.
例②
When to start isn’t important to us.
「いつ出発するかは私たちには重要ではない」
この文はwhen to startがisn’t(V)の主語(S)として使われていますね。こんな文も作れるんです。
[When to start]=(S) isn’t(V) important to us.
例③
The problem is where to hide it until her birthday.
「問題は、彼女の誕生日までそれをどこに隠しておくかです」
これは?where to hide it until her birthdayが is(C)の補語(C)になっています。このように
疑問詞+to Vは「名詞句」であることをしっかり押さえるのがまずは第一歩です。
The problem(S) is(V) [where to hide it until her birthday]=(C).
疑問詞の種類と訳しかた
この疑問詞+to Vに使える疑問詞は何でもOKなのですが、唯一、使えない疑問詞があります。それがwhy。それ以外は何でも使えますのでどしどし使いましょう。
what to do 「何を~するべきか」
how to do 「~する方法・どのように~するべきか」
when to do「いつ~するべきか」
where to do「どこへ~するべきか」
which to do「どちらを~するべきか」
who(m) to do「だれを(に)~すべきか」
× why to doの形はありません。
ところで、この用法は疑問詞ならば何でも使えるのが「売り」なのですが、実はこの点でも生徒の質問はよく来ます。例えば以下のような質問が多いですね。
「先生、以下の文の( )にはwhatとhowのどちらを入れたらよいのでしょうか?どちらでも意味が通るように思えるのですが」
とかいって以下のような問題を持ってきます。
【問】
He learned ( ) to use yesterday.
- how
- what
なるほど、確かにhow でもwhatでもどちらでもよさそうですよね。こういった場合みなさんでしたらどのように対処しますか?
こういった場合、意味的なものでなんとなく選ぶと【必ず】ケガをしちゃいます。しっかりと理詰めで考えられるようになると、安心できるものですね。
「疑問詞」は品詞ではない
先ほどの疑問詞 to Vの種類なのですが、疑問詞だけをちょっと下に法則を持って並べてみますね。
what
which
who(m)
how
when
where
この6つの(whyを入れれば7つですが今回はオミットします)疑問詞ですがそれぞれの品詞は何でしょうか?って聞くと思わず「?」と思ってしまう人がいるかもしれません。
ここは非常に重要なポイントなので慎重に聞いてほしいのですが、私たちがよく「疑問詞」と呼んでいるものは「品詞」ではありません。英語の品詞とは
名詞
代名詞
動詞
形容詞
副詞
前置詞
接続詞
間投詞
しかありませんから、「疑問詞」は品詞の中に含まれないんです。そうすると上記の6つの単語は、「疑問詞」以外にしっかりとした「品詞名」があるということですよね。
実は「疑問詞」は正確にいうと、後ろに〇○詞が省略されているのです。
what 疑問名詞
which 疑問名詞
who(m) 疑問名詞
how 疑問副詞
when 疑問副詞
where 疑問副詞
これが何か?と思わないでくださいね。この点がしっかり分からないと先ほどの生徒の質問に理詰めでは答えることができなかったりします。
疑問詞はto Vの「後ろ」の形で判断しよう
ちょっとここで中学生の例文をご紹介します。
例
What does he like?
「彼は何が好きなの?」
この文は疑問詞のwhatが使われていますが、whatは品詞的には「名詞」でした。それはこの文の目的語(名詞)が変わったものだからですよね。
He likes a dog.
↓
What does he like?
したがって、whatの疑問詞を使った文は、名詞が「一か所」抜けた文になっているはずです。もともと文の名詞がwhatに変わったのですから当たり前ですよね。
What does he like ● ?
何もこの現象はwhatだけではありません、「疑問名詞」と呼ばれるものはすべてこのwhatと同じ現象が起こっています。
例
Which do you use ●?
「あなたはどれを使いますか」
Who ● broke the window?
「誰がその窓を壊したの?」
それに対してhow / when / where (そしてwhyも)は品詞上「副詞」に分類されます。したがって副詞はSVOCに入りませんから、後ろの文の「名詞」が抜けるなんてあり得ないわけです。
例
Where do you go?
「あなたはどこに行くの?」
How did she sing a song?
「どのように彼女は歌を歌ったの?」
これは、何も疑問詞の後ろがto不定詞になったとしても全く同じなんです。to Vは S +助動詞(shouldが多い)を書き換えたものですので、問題はVの後ろに名詞が抜けているかどうかということです。つまり
● 疑問詞 to Vの見分け方
疑問詞名詞 + to V
→ 後ろに名詞の箇所があいている
疑問詞副詞 + to V
→ 後ろに名詞の箇所があいていない
ということになることをしっかり押さえると良いでしょう。
そうすると先ほどの生徒の質問はto Vの動詞をしっかり確認しなければならないということですよね。そしてuseは「他動詞」ですから、後ろに名詞が必ず必要なのですが、この文にはありません。
He learned ( ) to use(他) → 名詞がない yesterday.
したがってこの( )には、後ろの文の代わりになる疑問詞、つまり疑問名詞が入ると分かるわけです。whatが正解。
※whether to Vのwhetherは接続詞
この疑問詞 to Vの形ですが、疑問詞の箇所に「接続詞」whetherを使うこともできます。もちろん接続詞ですので、後ろの文はどこも抜けない「完全な文」が来ることはよく押さえておきましょう。
whether to V 「Vすべきかどうか」
例
I don’t know whether to tell him about it.
「彼にそのことについて話していいのかどうかわからない」
接続詞と関係代名詞の違いについて学習したい人はこちらになります。
what (which) + to Vの2種類の形
この疑問詞+to Vが思った以上にやっかいなのはこれだけじゃありません。例えば次のような問題をよく間違えてしまう受験生は正直多いです。
【問】次の( )を並び替えなさい
Please tell me before we decide( take / to / bus / which).
この問題なのですが解けますか?整序問題でセンター試験の問題なのですが、意外にみなさん苦労しています。
特にポイントはbusの位置なのですが、先ほどの「品詞」についての知識を使うとあっさり答えが出るはずなのですが…。せっかくですから解法してみましょう。
① decideの語法
decideは後ろにto不定詞が来る形を中学英語で学習するせいか、decide to Vというイメージが強いです。この問題もさりげなくそういったdecideのイメージを使って受験者を若干かく乱させようとしていますね。
ですがdecideにはto不定詞のほかに以下の形で使うことができるのです。これも大学入試では頻出事項に入るでしょう。
● decideの後ろに来る形
① to V / that SV
② 疑問詞~
③ on 名詞
特に②に注目してほしいのですが、decideは後ろに疑問詞を伴った文も来ることができるのはしっかり押さえてほしいところです。
つまり今回の疑問詞 to Vも置くことはできるということですね。
動詞の意外な使い方についてはこちらの記事をどうぞ
この問題はdecide to take…といってしまうと疑問詞whichの使い方が不明で詰んでしまいます。むしろwhichをdecideの後ろにつけて後に続けた方が先がありそうです(?)
decide which to take…
「どちらを乗るべきか決める」
そうするとbusが最後に残るわけなのですが、いくら置き場所に困ったからといって、以下のように適当に置いてはいけませんよ。
× decide which to take bus
ところがこのように置いてしまう受験生が後を絶ちません。制限時間内で焦って問題を解いていますから、どうしても焦ってこういう解答を作ってしまうんですよね。
この位置にbusを置けない理由は2つほど。1つは、busはみなさんもご存知「可算名詞」です。したがって数えられますので、busの前に「冠詞」をつけるか、複数形にしなくてはなりません。
もう1つの理由は、先ほどのwhichの使い方にあるんです。whichは品詞的に「名詞」ですから、to以下には本来あった名詞の箇所が1つ空いていなくてはなりません。
したがってこのwhich以下はこのような状況になっていなければなりませんね。
which to take → ●(名詞なし)
ところがこの●の箇所にbusなんて名詞を置いてしまったら、名詞の「空き」がなくなってしまうんですよね。この点からもbusをこの場所には置けないことが分かるのです。
そう、長くなりましたが、実は疑問詞のwhichとwhatには直後に名詞を置く「疑問形容詞」という形があるのです。
疑問形容詞とは
例
Which club is he a member of?
「彼はどのクラブの会員ですか」
What fruit doesn’t Pit like?
「ピットはどの果物が好きではないですか?」
この場合which(what) + 名詞という形となり、名詞に冠詞は必要ありません。したがってbusをwhichの後ろに置くには非常に都合がよいことになります。もちろん疑問詞 + to Vの形にもありますよ。
which to V 「どちらをVすべきか」
which 名詞 to V 「どちらの名詞をVすべきか」
what to V 「何をVすべきか」
what 名詞 to V 「どの名詞をVすべきか」
したがってこの文ではwhichの後ろにbusを置いて
decide which bus to take.
「どのバスに乗るべきか」
と表現するとバッチリ!ということになります。
※注意!この疑問形容詞についての私の見解
この疑問形容詞、もしかしたら英語学習者にとっては「?」がついてしまうかもしれません。何よりもまず以下の点について私に質問がよく来ます。
「先生、whatもwhichも「品詞」的には「名詞」と言ったじゃないですか!なぜ後ろに名詞が来たときだけ「形容詞」になってしまうのですか?」
というもの。この疑問は当然ですね。
そう、whichとwhatの品詞は「名詞」のはずなのにwhich(what)+名詞のときだけ形容詞に早変わり…いくらなんでもそれでは英語学習者は納得しないでしょう。
そこで【私】の見解を説明します。あくまでも私個人の意見ですからそのつもりで聞いてくださいね。
確かにこの形を「疑問【形容詞】」と言い切ってしまうのはいささか乱暴に感じます。何度も言いますがwhat(which)の品詞は「名詞」ですからね。
つまりこのネーミングはwhich(what)が名詞の前についていて、形容詞【のような】働きをしているからつけたとしか思えないくらいネーミングが安直です(笑)
そこで私の見解はこうです。この疑問詞の後ろに名詞をつけた形は、【疑問詞だけだと範囲が広すぎて絞りきれない状況を、後ろに名詞を置くことによって、疑問詞の範囲を急激に狭めた形】じゃないかと思っています。つまり簡単に言ってしまうと
疑問詞と後ろの名詞は「同格」の関係である
と捉えた方が、英文法上ではもっとも腑に落ちる説明なんじゃないか、と私は【勝手に】考えています(笑)
which to take
「どちらに乗るべきか」
whichが「車」をさすのか「船」を指すのかこの文では分かりません
which bus to take
「どちらのバスに乗るべきか」
busを置くことによってwhichが指すものがより具体化した。つまり
【which = bus】to take
と「同格」の関係になっている。
ちなみに私はこの「疑問形容詞」「関係形容詞」の説明を生徒にするときは、「形容詞」という言葉を使いません。
使ったところで無用な混乱を引き起こしそうなら、それは逆にマイナスですし、この文法用語を使わなくても英語学習上、影響はほぼないと考えているからです。
あとがき
さて今回はいかがでしたでしょうか。この疑問詞+to Vですが、意外と盲点があって「簡単だぜ!」と言い切れないところにちょっと怖さがありますよね。
ぜひマスターしていただいてこんごの英語学習にお役立てください。
ではまた。
不定詞の効率的な学習方法が知りたい方は以下の記事がおススメ。
コメント
大変勉強になりました。
中盤の問題では、how to useという表現をよく見るので、何も考え時にhow を選んでしまいました。toの後ろは他動詞か、完全分/不完全分というところまで見ないとですね。。
ありがとうございます。疑問詞+to Vの形は、意味的にhowを使ってもwhatを使ってもどっちでも当てはまるような微妙なものがありますよね。そんな時はあわてずに動詞の後ろに注目するといいです。これからも楽しく英語学習をしてくださいね!