「英語の参考書を読んでいると『副詞的目的格』という言葉に出会いました。これはいったい何でしょうか?学校の授業では学習しないような気がするのですが…」
と疑問に思った英語学習者のあなたに向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
「副詞的目的格」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?おそらく「なんだそりゃ?」と思う方もいらっしゃるのでは?
この用語、なんとForest(今ではevergreenですが、信頼できる総合英語書です)に載っていません。私がこの用語を初めて見たのは確か「英文解釈教室」だったかな?意外にこの用語を使っている参考書が少ないんです。
ですから、最初に「副詞的目的格」の言葉を見たときに慌てました。これはどういった表現なのか?と思いましたね。なんせこれまでこんな用語、学校でも学習したことがなかったですから。
そこで今回は「副詞的目的格」とは一体何なのかを詳しく解説したいと思います。決して難しくはない、というか日常的に使っている表現なんだなぁ、と安心していただければ幸いです(笑)
副詞的目的格とは前置詞+名詞の前置詞が取れたもの
英文中で名詞を使うときは、必ずS / O / C /前置詞+名詞のうちのどれかになるのは、英語学習をしている人ならば、必ず知っていなければならない英文法事項です。
まこちょ
英文中の名詞の働きについては以下の記事に詳しくご紹介しています!要チェック!
そのうち、「前置詞+名詞」という形で英語は「副詞句」を作ることが出来るのですが、今回ご紹介する「副詞的目的格」というのは、簡単に言ってしまうと、この前置詞+名詞の形から前置詞を取ったものと解釈してもらって構いません。
副詞的目的格とは ⇒ 前置詞+名詞から「前置詞」部分を取ったもの
なんて紛らわしいんだ…!と思った方もいるかもしれません。言葉にするとやたらに難しく聞こえるこの用法。実は英語学習で日常的に見ているよくある形だったりするんですよね。
例
My uncle passed away yesterday.
「昨日、叔父が亡くなった」
例
I stayed two weeks.
「2週間滞在しました」
例
We had a very hot summer this year.
「今年の夏はとても暑かった」
え!このyesterdayやtwo weeksが副詞的目的格なの??と驚いた人もいるのではないでしょうか。そう、通常「副詞句」は前置詞+名詞という形がデフォなのですが、このyesterdayは名詞で使っているくせに前置詞がついておりません。
副詞的目的格というのは、時間、距離、数量、様態(姿、形、方法)を表す一部の名詞は前置詞を消してそのままで副詞の働きをさせることができる用法のことを言います。
すこし例文をご紹介します。あ~こんな例文しょっちゅう使うわ…というか見たことあるわ…と思わず言ってしまうかもしれません(笑)
● 時間を表す副詞的目的格
例
The painter will live another ten years.
「その画家はあと10年は生きるだろう」
例
We have been married (for) five years.
「私たちは結婚して5年になる」
例
He talked a great deal.
「彼はたくさん話した」
この例文は通常forをつけて学習するかと思いますが、forの部分が消えている形もよく見ます。副詞的目的格として使っているんですね。
例
Ken arrived five minutes late.
「ケンは5分遅れて到着した」
この時点で「おいおいおいおい…英作文で書いたことがあるぞ…」とか思ってしまった人は大丈夫です、かなり正常です(笑)。
● 距離を表す副詞的目的格
例
The train runs 200 kilometers an hour.
「列車は時速200kmで走る」
例
I walked a long way.
「私は長い時間歩いた」
●「様態(姿、形、方法)」(~のように)の副詞的目的格
この表現もよく見ませんか?主にthe wayを使った表現なのですが、wayは前についている前置詞のinがよく省略されるんです。
例
Please step this way.
「どうぞこちらへ」
例
You should go back the way you came.
「君は来た道を戻ったほうがいいよ」
●「方法」を表す副詞的目的格
例
She put forth(at) full speed.
「彼女は全速力を出した」
例
She does things her own way.
「彼女はマイペースだ」
● 度合いを表す副詞的目的格
例
I got it (at) 30% off the list price.
「私は表示価格の30%でそれを得た」
例
The total weight approaches 100 pounds.
「総重量は 100 ポンドに近い」
(引用:研究社 新英和中辞典より)
このように意外に私たちが英文を書いているときに、特に意識しないで副詞的目的格を使っていることが分かるかと思います。
副詞的目的格は形容詞を修飾できる
さらに副詞的目的格についてもう1つポイントが。副詞的目的格は名詞の前の前置詞が取れた用法ですので、一見「名詞」に見えるのですが、立派な「副詞」です。
したがって形容詞などを修飾できることも覚えておきましょう。とはいってもこれも中学生の時に学習した英文のなかに有名な使い方があるのでした。
例
My son is eight years old.
「私の息子は8歳です」
あまりにも日常的に使うこの例文、eight yearsのところが「副詞的目的格」なのですが、形容詞のoldを修飾しています。
なぜ副詞的目的格というネーミングなのか
この副詞的目的格、日常英語でも頻繁に使われる用法でありながら、今一つこの語源の出どころが定かではありません。そこで少し調べてみました。
副詞的目的格というのは別名「名詞の副詞的用法」なんて呼ばれています。名詞の副詞的?と聞いて、思わず「?」がついてしまう人がいるかもしれません。
実は、英語の名詞は、昔は「副詞」として使えていました。まずこれがびっくりですよね。
ということは、私たちが現代英語で学習する名詞がなる要素のS / O / C / Mですが、このM=修飾語句の1つに「ただの名詞」としての使い方があったようなのです。つまり以前は
M=修飾語句の種類
①副詞(句・節)/形容詞(句・節)
②名詞
があり、主に動詞の後ろについて使っていたようです。そうすると5文型に一家言お持ちの(?)みなさんは、ある疑問がわくのではないでしょうか。
動詞の後ろの名詞は「目的語(O)」じゃないか。そうしたら目的語(O)として使っている名詞と副詞として使っている名詞はどうやって区別するんだ?
とまぁ当然の疑問ですよね。これは混乱するだろうと私も思いますし、実際混乱したそうです。
そこで近代英語が発達する中で、名詞の意味について混乱をきたすのを避けるために副詞として使う名詞には前置詞を名詞の前に置くようになったと言われています。
ですからもともとは前置詞+名詞が副詞句の最初なのではなくて、もともとは前置詞のついていないドノーマルの名詞に副詞の働きをするものがあったと。なんともまぁ…
また「なぜ副詞的【目的格】というネーミングにしたのか」というと、やはり昔にさかのぼるのですが、当時は動詞の後ろに続く語句を【すべて】目的語と分類していたようです。
その名残は現代英語にもあり、例えば「直接目的語」「間接目的語」「目的格補語」などと呼ばれていますが、そのうちの1つに「副詞的目的語」と呼ばれるものがあった!ということです。
ちなみにこの副詞的目的格については、いまだにガチで研究している方が多くいまだに謎が多いそうです。私が調べたものも一例に過ぎないことは合わせてご報告しておきます。
副詞的目的格とは:まとめ
さて、今回は副詞的目的格について解説しましたがいかがでしたでしょうか。
まだまだ謎が多いこの表現、あまり肩ひじを張らずに、「前置詞がとれた名詞がある」とライトに考えたほうが無用な混乱を避けれれるかもしれません。主要な使い方をしっかり覚えて今後の英語学習にお役立てくださいませ!
まこちょ
5文型の学習方法についてよく分からない方は以下の記事をクリックしてください。英語の骨格についての学習方法がよく分かります。
また会いましょう。
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